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野村 由羽さん


国や歴史によって異なる
平和の概念に着目し
世界へ目を向ける

 


平和学研究科 平和学専攻 博士前期課程 1年

野村 由羽(のむら ゆう)

 

 

 

 

 

※学年、掲載内容は取材当時(2024年12月から2025年3月)のものです。

 


東京での大学生活で平和に対する温度差に気付いた

東京学芸大学で教育を学んでいたある日、95年の米スミソニアン博物館の原爆展示論争について学ぶ機会がありました。その時初めて、東京と広島の間にある「平和」に対する温度差を感じました。広島では原爆被害者を軸にした倫理的思考が中心ですが、東京では、「なぜ原爆が落とされたのか」という戦争構造の理論に終始。倫理的な思考は二の次になっている印象を受けました。また、コロナ禍において、必ずしも戦争がない状態だけが平和だとは限らないのでは、と考えるようになり、平和学に興味を持つようになりました。結果的に、大学卒業後は故郷の広島に戻って大学院(※1)に進学し、平和研究の道に進むことを決めました。

大学院 ※1
国際学研究科、情報科学研究科、芸術学研究科、平和学研究科の4研究科があり、それぞれ博士前期課程、博士後期課程が開設されている。


今だから分かる 広島で語られる歴史の貴重さ

研究室のゼミでは、ディスカッションを通してそれぞれが学びを深めている。

尊敬する先生との一枚。

研究室は幅広い年齢層の同級生が8人と、少人数でアットホームな研究環境です。授業は課題文献を読んでのディスカッションが中心のスタイル。日々、活発な議論が交わされています。研究室(※2)にこもってばかりの生活ではなく、広島に多く残されている原爆遺構を何度も訪れるなど、フィールドワークにも積極的に取り組んでいます。平和記念公園のピースボランティアの方のお話を毎週聞きに行き、広島の平和についての学びを深めています。被爆者の高齢化も進み、今体験を語ってくださる方が被爆したのは幼少期です。そのため、幼い頃のおぼろげな被爆の記憶と後年に得た広島の歴史の知識を組み合わせたような語りを多く耳にします。私は広島生まれ広島育ちなので、義務教育でも被爆者の体験談は聞いているはずなのですが、当時は平和学習にさほど興味がなかったため、よく覚えていません。約 10年前に聞いたはずの講話は、もっと実際の体験に近い貴重なものだったのではないか。そう考えると、もったいないことをしたと感じます。

研究室 ※2
平和学研究科には大学院生用の研究室があり、各自に専用スペースが与えられる。


被爆の跡を近くで見ることができるフィールドワークは、広島ならではの経験。


毎週訪れる平和公園では、被爆者への祈りを欠かさない。


歴史認識の違いに着目した研究の日々

研究テーマとしては、アメリカにおける日系アメリカ人の歴史認識に注目しています。実は広島は日本国内でアメリカ本土やハワイに最も多くの移民を送り出した土地です。それゆえに、広島に家族や友人がいて、日系アメリカ人として広島で被爆した方もいます。同じ被爆者であっても、帰属するコミュニティやアイデンティティが違う場合、広島の被爆者と歴史認識がどう異なるのかという点に強い関心を持っています。近年では、アイデンティティや帰属意識を主張する政治家が多いと感じることもあり、それぞれの「平和」に対する境界線がどこにあるのかを学びたいです。研究では附属図書館(※3)もよく利用します。司書の方と一緒に文献を探したり、単純に研究室から場所を変えることで息抜きをしたり。同じ場所でずっと座ってはいられない性格なので、大学内であちこち場所を変えながらリフレッシュしています。

附属図書館 ※3
図書約35万冊のほか視聴覚資料約1,900タイトルをコンピュータで集中管理。また、館内には無線LAN環境が整備され、WEB情報や所蔵資料を活用しながら学習可能。


資料がすぐに探せる図書館は作業にちょうどいい場所。

国際的な視点も養いながら平和を研究し続けたい

しばらくは大学院に在籍する予定で、その間に海外での大学院進学を考えています。やはり歴史に直接関係のある場所で直に学ぶべきだと思いますし、語学を磨くことで自分自身の視野も広げたいです。国際社会での「平和」という概念は世界共通ではなく、その国々の歴史や宗教などに基づいた考え方があります。この概念の違いが、歴史認識の齟齬、ひいては国際問題につながるのではないかと考えているので、より深く掘り下げていきたいです。将来は大学教員として、平和学理論について研究を進めていければと思います。広島で育ったからこそ、平和に対する倫理観を大切にしつつ、世界の共通課題である「平和」に向けて、一歩でも歩みを進めたいと思います。


広島で学んだ平和に対する考え方は、研究の原点でもある。

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