広島市立大学芸術学部 入学者選抜参考作品2026
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え一般選抜  美術学科彫刻専攻後期日程とら右の参考作品は、像を一つの塊として捉問題 台上の石膏像をよく見て描きなさい。素描 (木炭または鉛 筆) 7 時間 【モチーフ】 石膏像 ヘルメス胸像【配付物】 木炭を選択:木炭紙、下敷き用紙、画鋲 / 鉛筆を選択:木炭紙大の画用紙、画鋲石膏像の造形性の把握と基本的な観察力および描写力をみる。モチーフの「ヘルメス」は1877年にオリンピアのヘラ神殿で発見されたもので、ギリシャ時代の巨匠プラクシテレスが制作したと言われています。実物は全身像であり、右足重心で立ち、左手に幼児を抱いています。左肩にある小さな手はその幼児のものです。ヘルメスは、オリンポス12神の一人で、旅、仕事、弁舌、道化、泥棒の神とされています。この像は、左手に抱いた幼児に向けて傾いた頭部や上げられた右腕といった特徴的な動きがあり、この動きが生み出す作品の構成や構造をしっかりと把握する必要があります。また、衣服や装飾のない裸体である中で、頭部の凹凸や鼻筋の通った端正な顔立ちが像の焦点となるため、それぞれの形態を正確に描き起こすことも重要です。 たうえで、動きやディテール、空間を感じながら描き起こし、像の持つ美しい秩序を丁寧に表現することができた作品です。石膏デッサンに必要な要素は多岐に渡りますが、特に彫刻を志す人には、空間の中にある塊として像を把握する見方や、像を制作した彫刻家が意図した構成を読み取る力、そして実際に像を手で触れたりつかんだり抱えたりできるものとして描き起こす描写力が求められます。素描の学習を行う際には、こういった要素を把握するために様々な角度から像を観察し、実際に手で触れたり抱えてみたりすることが効果的です。 出題 意図16

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